税務調査には、”行われやすい時期”と”行われにくい時期”があるのか?

税務調査は、1年中行われています。ただし、調査の件数が多き時期と少ない時期は間違いなくあります。それにはいくつかの事情があります。

目次

時期によって税務調査の”多い””少ない”の違いはあるのか

時期によって、税務調査が行われる件数に違いはあります
具体的に言うと、8月から11月が税務調査のピークで、反対に、2月の半ばから3月の半ば6月から7月の半ばには、ほとんど調査は行われません

このような、時期による税務調査の差は、主に「税務署内部の事情」と「会社と個人事業主の申告時期」が影響しています。

 

税務署内部の事情

まず、税務署内部の事情ですが、税務署では7月職員の移動があります。

この移動は、税務署内の年度の区切りでもあるので、移動の前後は業務の引き継ぎ新体制を整備するための時間に充てられます。

従って、移動前の6月移動直後の7月には、新規で税務調査が行われることがほとんどなく、新しい体制が整った8月以降に満を持して、調査が行われることになります。

 

会社、個人事業主の申告時期

申告の時期も税務調査に影響します。

日本は、3月決算の会社が多く、申告書の提出は、6月末あるいは7月末に集中します。
税務署もこの時期は申告書の受付けや、質問等への対応、受け取った申告書の確認に終われますので、税務調査にかける時間があまりありません。

また、個人事業主は申告書の提出が2月の半ばから3月の半ばの期間に決まっていますから、税務署はその対応に追われるため、この時期も税務調査はあまり行われません。

 

主に、このような2つの事情が影響して、税務調査は8月終わりから11月にもっとも多く行われています。

 

 

ピーク時以外には税務調査は行われないのか?

先ほど説明した通り、税務調査のピークは8月の終わりから11月くらいですが、では、それ以外の時期に調査が行われないかというと、そんなことはありません

会社の税務調査は、決算が終わって申告書を提出したあとに、その内容を確認してから行われます。日本の会社は3月決算のところが多く、申告書提出が5月末と6月末に集中することから、結果的に、提出された申告書の内容をチェックした後の8月から11月が税務調査のピークになっているのです。

ですが、会社の決算期自由に決めることができます
つまり、3月以外を決算月にしている会社もたくさんあるわけで、たとえば、12月決算の会社であれば、申告書を2月か3月の終わりに提出しますから、そのチェックが終わる4月頃に、また、9月決算の会社なら申告書を11月か12月の終わりに提出しますから、1月頃に調査が行われることもあるのです。

このように、決算月の関係から、ピークである8月終わりから11月以外の時期にも税務調査は行われています。

 

 

「税務調査は突然来る」わけではありません!
事前通知があり、日程調整もできます

税務調査は時期によって、多いときと少ないときがあることは、お分かりいただけたと思いますが、税務調査が決まったら、突然、会社や事務所に税務署の職員がやってきて、手当たり次第に帳簿や資料を調査するかというと、そのようなことはありません。

税務調査が行われる場合は、事前通知を行うことが、法律で定められていて、調査に先立って税務署から連絡が来ることになっているからです。

ですので、知り合いの会社などで税務調査が入ると、「そろそろうちにも、税務調査があるのではないか」と心配になるかもしれませんが、必要以上におびえることはありません。

事前通知が来た時に、調査に備えて必要な帳簿や資料を準備して税務署への対応の仕方を確認しておけば、それで十分間に合います。

 

また、税務署から税務調査の連絡が来た際には、調査日の打診がありますが、その日程は変更することも可能です。

強引に調査をすると言っても、納税者側の準備ができていなくて、調査がスムーズに進まないと、どんどん調査の時間は長くなってしまいます。

税務署にも、税務調査の件数のノルマがありますから、1件の調査にそうそう長い時間を使うわけにもいきません。調査はできるだけ早く終わらせる必要があるのです。

そのため、調査が早く進むように、納税者の方に必要な資料を準備してもらうことと、質問事項に答えてもらうための時間をとってもらうことが必要になりますが、税務署側が打診してくる日程では、それができないこともあります。

そのようなケースに備えて、きちんと準備した状態で税務調査を行えるように、日程変更することができるようになっているのです。

これは、制度上も正式に認められていることですので、遠慮することなく事情を伝えて、私たちが対応可能な日に変更してもらえるようにしましょう。

私も、税務調査立会いの依頼をいただいた時には、税務署にかけあって、日程変更するようにしています。

 

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税務調査の時期を気にするよりも、日々の経理を大事に

税務調査の時期と、税務調査が決まった時の対応を見てきましたが、

 

「どの時期に税務調査が多いか」

「どのような業種が税務調査を受けやすいか」

 

と言った傾向は、あまり気にしても仕方がありません。
先ほど説明した通り、税務調査はどの時期にでも入る可能性はありますし、業種などを問わず、一定の規模で事業経営をしていれば、たとえ問題がなかったとしても調査を受けることはあります。

なので、「税務調査はあるもの」と考えて、いつ税務調査が決まってもいいように、税務署の疑問に答えられる体制を整えておくことが大事です。

とは言っても、難しいことは何もなくて、普段の経理をきちんとやっておけば十分です。

経理をキチンとやるというのは、

 

売上を漏らさずに記録

②経費をレシートや請求書に従って記録

③在庫を正確に数えて、正しい金額で記録

 

の3点に注意してデータ入力することと、入力の元になったレシートや請求書などの資料を保管しておくことです。

科目名がどうとか、摘要をどんな内容にするかといったことは、あまり気にしなくてもいいので、請求書、レシート、通帳などの証拠に基づいてきちんと記録することだけに気をつけて経理をやっておきましょう。

それさえできていれば、税務調査で困ることは何もありません。
税務調査で主に見られるのは帳簿と、その元となった資料ですから、そこがきちんとしていれば、早期に調査は終わるからです。

 

 

まとめ

税務調査は8月から11月がピークです。
会社の申告書提出が集中する6月、個人事業主の申告書提出期間の2月半ばから3月半ばは、税務調査はほとんど行われません。
ただし、税務調査の時期は関係なく、日々の経理をきちんとやっておくことで、いつ税務調査が来ても言いように準備しておくことが大事です。

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