やらなきゃ損する! 会社で今すぐできる11の税金対策

せっかく業績が伸びてきたのに、税金の支払いで一気にお金が出ていくのは、イヤなものです。税金から逃れることはできませんが、少なくするための方法はあります。正しい方法で税金を少なくして、できるだけ多くのお金を会社に残せるようにしましょう。

ポイントは、節税の目的は会社にお金を残すことにあり、そのために、税金を支払いを受け入れることムダな経費を使わないこと経費をモレなく計上することが必要なことを理解することです。個別の税金対策を生かすためには、このポイントを理解することが大事です。

 

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目次

節税の目的は、会社にお金を残すこと

税金の支払いを少なくする(=節税)方法の前に考えておくべきことがあります。
それは、「何のために節税をするか」ということ。

節税の目的がはっきりしていれば、どのような方法が効果的で、どのような方法を避けるべきかの判断ができるようになるからです。

では、節税の目的は何かというと、会社にお金を残すことにあります。

[aside type=”normal”] 節税の目的

 会社にお金を残すこと

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会社は、お金を増やしていくために存在する組織です。

お金を増やすために会社は、「安く買って、高く売る」を繰り返しているわけですが、

 

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この中に税金をあてはめると

 

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こうなります。

税金(法人税、法人住民税等)は、売上から経費を引いた利益(所得)に税率をかけて計算され、会社からお金が出ていく原因になっているということですね。

このように、お金が会社に残る仕組みが目に見えるようになると、

「会社にお金を残すために、なにが必要か」

「会社にお金を残すために、節税をどのように位置づけるべきか」

も自然に分かってきます。

 

1つは、会社にお金を残すためには、どうしても税金を支払う必要があること。
これは、税金が利益(所得)の大きさに比例して決まるようになっているためで、受け入れなければいけないところです。

節税に注意が行きすぎると、利益を少なくすることを考えてしまいそうになりますが、それでは本末転倒です。

上の図で見てきたとおり、会社にお金を残し、少しずつ増やすためには、利益を増やすことが基本。わざと利益を減らすようなことをすると、結果的に会社のお金は減ることになりますから、税金の支払いも必要経費と考えて、利益を増やすための経営を行うのが第一です。

 

もう1つは、節税会社にお金を残す手段の1つに過ぎないこと。

節税の目的は「会社にお金を残すこと」にありますが、上の図を見れば分かるとおり、お金を残すための要素は税金以外に「売上」「経費」があり、しかもその割合は「税金」よりも圧倒的に大きいのです。

とすると、税金で出ていくお金を少なくする前に、”ムダな経費”を少なくすることを考えなければいけません。

ただし、「”ムダな経費”を少なくする」と言うと、とにかく経費をカットするイメージですがそれは違います。

ムダな経費かどうかはその額ではなく、経費を上回る売上を生んでいるかどうかで決まるからです。

 

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「経費」と「売上」はセットです。「売上」のために「経費」が必要で、「売上」につながらない支出は「経費」ではなく「浪費」です。

「会社にお金を残す」という目的からは、節税よりも先に、会社の支出を「売上につながっているか」という観点から見直して、”ムダな「経費」”を少なくすることを考える必要があります。

 

最後に、”ムダな経費”を少なくした上で、節税のために効果的なのはモレなく経費を計上すること。

ムダなく経費が使われていれば、それは売上に必要な支払いが行われているということですから、それ以上支払いを少なくすることを考える必要はありません。

ここからは、支払ったものの中で経費として認められるものをモレなく経費にしてしまうことで、税金の支払いを少なくすることを考えます。

 

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逆に言うと、税金を少なくするために、わざわざお金を使う必要はないということです。

”税金対策”と言うと、期末に高額な車や家具を買ったりすることがをイメージするかもしれませんが、それはムダな支出です。売上のために必要な支出はそれが必要なタイミングで行うべきで、節税との関係で実行したり取りやめたりするようなものではないからです。

(※「売上が見込める」と判断したら、必要な経費を使って売れる体制を整え、できるだけ早く売上を生み出す方が、節税よりも会社に残るお金は増えます。)

なので、本当の意味での節税は、

経費をモレなく計上する

という当たり前のことが基本になるのですが、それが徹底できていないことが多いのです。

 

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]節税の目的=「会社にお金を残すこと」であることを知っていれば、そのために何が必要かが見えてきます。次の章では、その”会社にお金を残すために必要なこと”を説明し、具体的な節税の手法は、その次の章で扱います。[/voice]

 

 

数字で会社の現状をつかむことが、節税につながる

節税の目的が「会社にお金を残すこと」にあることを考えて、そのために何をすべきかを見てきました。

[aside type=”normal”] 会社にお金を残すために必要なこと

1.税金を納めることを受け入れる

2.ムダな経費をなくす

3.経費のモレをなくす

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では、これを実行するために実務で何をするべきかというと、

 

数字で会社の現状をつかむこと

 

です。

もっと具体的に言うと、

会社の売上、経費、利益、年間の見込み額

税金の見込み額

が金額で把握できているということです。

 

なぜ、数字で会社の現状をつかんでおく必要があるかというと、”数字”という客観的なモノ差しがあると、会社の現状に対する意識が高まるとともに会社にお金を残すための正しい行動を促すことになるからです。

これは、ダイエットで毎日体重を記録することで、昨日までの自分を振り返るとともに、「何をどれくらい食べればいいか」「どれくらい運動しなければいけないか」という、将来の行動を矯正してくれるのと同じです。

会社の現状を数字で把握してると、売上が伸びていないのに経費が増加していれば、「ムダな経費を使っているんじゃないか?」と経費の使い方を見直すことにつながりますし、売上の伸び以上に税金の支払い見込みが大きくなっていれば、「経費の削減がうまく行ったのか、それとも経費にモレがあるのか」と経費の中身についても注意を払うようになります。また、「うちの会社で経費に使えるものは他にないか?」と税金の制度も積極的に知ろうとするようになります。

さらに、会社の数字を記録するには証拠が必要ですが、その証拠は請求書やレシートです。正確な数字を記録するためには、請求書やレシートをもらさず保管しなければいけないので、そのことが経費のモレを防ぐことにもつながります。

 

このように、数字で会社の現状を常に把握できるようにしておくことが、節税を実行し会社にお金を残すために大きいな役割を果たします。

 

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]節税を実行するための実務上のポイントとして会社の現状を数字で把握することがとても重要です。

数字をつかむことで、

「いま会社はどうなっているのか」(会社の現状を知る)

「これから何ができるのか」(節税のための選択肢を知る)

「具体的になにをすればいいのか」(選択肢の中から正しい行動を選びとる)

ことを促してくれるので、毎月会社の数字を頭に入れるようにしてみてくださいね。

もし、毎月の記録が面倒なら会計事務所に依頼して、毎月の会計データの記録を作成してもらうようにしましょう。

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会社の節税方法

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]具体的な節税方法を説明していきます。
「どれだけ多くの方法を知っているか」で節税の効果は大きく違ってきますので、採り入れることができるものは残さず採り入れてみて下さいね。

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青色申告事業者になる

青色申告事業者になるだけで、節税の幅がを広げることができます。

手続も、事業年度開始の日の前日まで(設立した会社は設立から3ヶ月以内)に「青色申告の承認申請書」を税務署に提出すればOKです。

 

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法人の「青色申告の承認申請書」は、国税庁のHPからダウンロードできます。個人事業主が提出する「所得税の青色申告の承認申請書」とは違うので注意しましょう。

青色申告の承認を受ければ、この後に説明する「繰越欠損金を使った節税」「30万円未満の固定資産の即時償却」などのメリットを受けることができます。

青色申告にするデメリットはゼロですので、必ず青色申告の承認を受けるようにしましょう。

 

繰越欠損金を使う

会社が赤字になったとき、赤字を繰り越して将来の黒字と相殺することで税金を少なくすることができます。この時、将来に繰り越す赤字のことを繰越欠損金といいます。

通常、利益(黒字)が出た場合は、利益に税率をかけた額を税金として納めることになりますが、

 

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繰越欠損金を使う場合、

 

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将来の黒字繰越欠損金(過去の赤字)相殺することで利益が小さくなり、税金の額をすくなくすることができます。

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]繰越欠損金を繰越せる期間9年ありますから、かなり余裕があります。投資で一時的に赤字に陥っても将来の黒字によって税金の面でもカバーされる仕組みになっているんです。

なお、繰越欠損金は、青色申告事業者にのみ認められています。
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法人税の繰戻還付を使う

前期黒字で法人税を支払っていて、当期赤字になった場合、前期支払った法人税を返してもらうことができます。

 

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還付をうけるには3つの条件があります。

[aside type=”normal”] 法人税の繰戻還付を受ける条件

中小企業(資本金が1億円以下の会社)であること

青色申告の承認をうけていること

還付請求書を提出すること [/aside]

この3つを全て満たす会社が還付をうけることができます。

赤字による節税については先ほど出てきた繰越欠損金を使う方法もありますが、両者は、どちらかを選択できるという関係になっています。

たとえば、今期赤字が出たため、手元の資金が薄くなってきたので、現金を多く持っておきたいと考えるなら繰戻還付を、赤字にはなったもの資金は十分にあり、今後黒字が増えてくると見込んでいるなら繰越欠損金にして将来の税金の支払いを少なくするというように、会社の状況に応じて使い分ければOKです。

「繰戻還付を使うと税務調査が入るので使うべきではない」という考え方もあるようですが、税務調査を理由に還付を選ばないというのはナンセンスです。

たしかに、還付を受けるときは、その内容について税務署が調査することになっていますが(法人税法80条第6項)、調査官が会社にやってきて資料を調べる、いわゆる税務調査(実地調査)が必ずあるわけではなく、電話で還付にいたる経緯を聴かれたり、必要な資料の提出を求められるなど、簡単な調査でおわることも多いです。

仮に税務調査が入ったとしても、きちんと対応すればいいだけの話で、優先すべきは会社の状況です。

税務調査があるかどうかなどとは関係なく、会社にとって有利な方法を選ぶようにするようにしましょう。

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]税務調査を理由に繰戻還付を躊躇するかたもいるかもしれませんが、その必要はないですよ。
会社の資金繰りや財務状況、将来の業績予測などを考えて、最適なものを選びましょう。もし難しいなら税理士や会計士に相談するのもおすすめです。[/voice]

 

固定資産の償却方法を見直す

機械、建物、パソコンと言った長期間使う資産(=固定資産)を購入すると、購入価額のうちその年に使った分だけを経費にする減価償却を行います(ただし、土地は使っても価値が減らないと考えられるので減価償却しません)。

減価償却の方法には、主に定額法定率法の2つがあり、そこから選ぶことになりますが、節税の観点からは、できるだけ早くたくさんの金額を経費にするのが有利です。

では、どちらの方法が早くたくさんの金額を経費にできるかと言うと、定率法の方。

定額法の減価償却が毎年一定額なのに対して、定率法は始めが大きく、だんだん小さくなっていきます

 

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(償却率は国税庁のHPに掲載されています)

 

定額法と定率法の償却額の推移に着目して、定率法を選ぶようにします。

 

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]固定資産の減価償却は、償却方法の違いによって、経費になるタイミングに大きな違いが出ます。節税の観点からは、「定率法を選ぶこと」が結論になりますが、建物については定額法しか選べないので注意が必要です。[/voice]

 

固定資産の登録内容を見直す

固定資産を細かく区別して登録することによって節税につなげることができます。

たとえば、新築で事務所を構えるとき。
全体を「建物」として処理することもできますが、それだと耐用年数(その資産を使い続けられる期間)が長くなるため、1年あたりの減価償却費は小さくなってしまいます。

ところが、事務所の中には、エアコンなどの空調設備、フロアを仕切って個室にするパーテーション、会議室に設置するホワイトボード、エレベータなども含まれていて、これらの設備は建物付属設備として処理することも可能です。

建物付属設備の耐用年数(最長で18年)は建物の耐用年数(最長で50年)よりも相対的に短いことから、建物付属設備として建物と区別して処理することで、1年あたりの減価償却を大きくすることができるのです。

150万円のパーテーションを例にとると、「建物」にした場合は1年あたりの減価償却は3万円(耐用年数50年)なのに対して、「建物付属設備」にすると10万円(耐用年数15年)になりますから、その差がどれだけ大きいかがよく分かります。

建物付属設備の耐用年数は、その内容によって細かく分かれているので、

建物付属設備 耐用年数
電源設備 6年
上下水道設備 15年
ガス設備 15年
エアコン 13年
エレベーター 17年
避難設備 8年
パーテーション 15年(簡易なものは3年)
その他 金属製のもの:18年、金属製でないもの:10年

「建物付属設備」と一括して処理するのではなく、細かく区分して処理する方が有利です。

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]固定資産の登録を細かく区分するだけで、節税の効果が大きく変わってきます。固定資産台帳の記録を1度見直して、細かく分けられるものがないか検討してみましょう。[/voice]

 

固定資産を売るor廃棄する

所有している固定資産の中で、事業に使っていない資産売る廃棄することで節税になります。

固定資産は長く使うものですので、まだ使える状態でも売上が思ったほど上がらなかったり、事業方針の転換があったりして、使わなくなることもあります。

資産を売ることができれば、お金が入ってくるだけでなく、売値と帳簿価額に差があると損失(固定資産売却損)になりますが、その損失は経費として認められ、そのまま資産を持ち続けるよりも早く経費にすることができるので節税の効果があります。

 

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残念ながら売り手が見つからない場合でも、廃棄することで節税につながります。

廃棄する場合は帳簿価額損失(固定資産除却損)になり、その損失は経費として認められることから、そのまま持ち続けるよりも早く経費計上できるからです。

 

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[aside type=”normal”] 固定資産を廃棄する際の注意

固定資産を廃棄する際は、廃棄した事実を証明する証拠がないと、税務調査で経費として認められなくなる可能性があるので、廃棄を依頼した業者から廃棄証明書(マニフェスト)を取得しておく。
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また、固定資産は持ち続けるだけで固定資産税の支払いが発生します。ちゃんと使っていて、売上に貢献しているなら問題ありませんが、使っていないならムダな支払いです。

固定資産の売却・廃棄ムダな固定資産税の支払いをなくす意味でも、節税の効果を持っています。

 

在庫の評価損を計上する・商品を廃棄する

小売業で長い間売れていない在庫がある場合は、商品の帳簿価額を時価まで切り下げて損失(棚卸資産評価損)を計上するか商品を廃棄して損失(棚卸資産廃棄損)を計上することで節税につながります。

 

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棚卸資産評価損も棚卸資産廃棄損も経費として認められることから、そのまま持ち続けたあとに損失を計上するよりも、早期に経費計上できるからです。

棚卸資産評価損を計上する場合、「時価をいくらにするか」が問題になりますが、これは市場で売れると考えられる金額を使うことになっています。

評価損のために使った時価については、その金額が妥当であることを証明する必要があるため、証拠を残しておきましょう。たとえば、帳簿価額より安い値段で販売した実績があれば、その時の請求書や領収書が証拠になりますし、ネット上で確認できる取引価額があればそれも証拠になりますので資料として残しておきます。

また、廃棄については固定資産と同様、廃棄した証拠を残しておく必要があるため、廃棄業者から廃棄証明書(マニフェスト)を取得するようにしましょう。

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]売上に貢献しない商品は、早めに評価損や廃棄損失を計上しておきましょう。在庫を多く抱えると、それを管理するコストも発生してしまいますので、在庫を少なくすることも会社にお金を残す大事なポイントになります。[/voice]

 

申告期限の延長申請

会社の確定申告は株主総会後2ヶ月以内になっていますが、申告期限を1ヶ月延長することが可能です。

申告期限を延長することが、直接節税に貢献するわけではありませんが、申告までの時間をより多くとれることで、節税対策を時間をかけて行えるメリットがあります。

申告期限を1ヶ月延長すると、通常よりも1ヶ月分多くデータを入手してから、節税対策を行えることから、その有効性をより正確に判断できますし、節税対策にモレがないかどうかの確認もしっかり行うことができるんです。

具体的には、次のような点の検討に時間をかけることができます。

[aside type=”normal”] 申告期限を延長するメリット

・申告書の提出期限が期限になっている、会計方針(棚卸資産の評価方法、減価償却資産の償却方法など)変更の届出の検討に時間をかけられる

・役員報酬の変更に必要な株主総会を、決算後3ヶ月後まで行えるので(通常は決算後2ヶ月後まで)、1ヶ月分多く業績のデータを使って役員報酬の額を決めることができる

・節税対策にモレがないかの見直しの時間を多くとれる

[/aside]

 

申告期限を延長するには次の手続が必要です。

 

[aside type=”normal”] 申告期限延長の手続

定款変更で「株主総会を期末から3ヶ月以内に開催する」と定める
 (すでに定款に記載していれば変更は不要)

適用を受ける年の期末までに、「申告期限の延長の特例の申請書」を所轄税務署長に提出する [/aside]

 

(参考「申告期限の延長の特例の申請書」)
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(実際の申請書。国税庁のHPからダウンロードできます)

 

申告期限の延長は手続も難しくないですし、メリットも多いですが、一方で、注意すべき点もあります。

それは、

[aside type=”normal”] 申告期限の延長の注意点

納付期限は延長できない(決算日後2ヶ月以内に納付)

法人住民税・事業税の延長には、「申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書」の作成・提出が必要

消費税は申告期限の延長ができない

[/aside]

この3点です。

特に、納付期限の延長ができない点は重要で、延長後の申告期限に合わせて納付してしまうと、納付期限を越えているため利息の支払いが発生することになります。

納付期限が延長できないなら、申告書の提出期限を延長するメリットがないような気がしますが、利息の支払いを避ける方法があります。

それが、納付期限までに税金の見込額を納付する「見込納付」です。納付期限までに見込納付しておくことで、納付期限を守ることができますから、利息を支払う必要がなくなります。

なお、実務上、見込納付は、実際の見込み額よりも多めに納付するのがポイントです。

と言うのも、後で決算の数値が変更されて、税金の額が見込納付の額よりも多くなると、不足分については利息がかかることになります。そのような事態を想定して、多めに見込納付しておくことで、実際の納付額が予想された納付額より多くなっても利息を支払わなくてもいいようにするためです。

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(見込納付の不足による利息が発生しないように実務では)
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(見込納付を多めにしておく)

 

もし、見込納付が実際の納付額を超えている場合は、精算して返金してもらいます。

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]申告期限の延長は手続も簡単でメリットも多いですが、注意も必要です。特に、納付期限が延長されないことは重要ですから、見込納付を使って利息の支払いを避けるようにしましょう。[/voice]

 

出張旅費規程を整備する

出張旅費規程を整備することで節税につながります。

出張旅費規程がない場合、出張時の旅費・交通費は実費精算になり、実際に使った金額しか会社の経費になりませんが、出張旅費規程で日当(出張で必要と見込まれる費用)を決めておけば、日当の全額経費になります。

また、日当を受け取った役員や従業員は、実費以上の日当を受け取ったとしても、「日当ー実費」の差額分は所得税計算上の所得にならないので、所得税の支払いを増やすことなく手取りを増やすことができるので、役員・従業員にとってもメリットがあります。

 
(出張旅費規程を整備するメリット)

出張旅費規程あり 出張旅費規程なし
会社の経費になる金額 出張旅費規程の日当の全額 出張でかかった実費
役員・従業員に支払われる金額 出張旅費規程の日当の全額 出張でかかった実費
役員・従業員の所得税への影響 実費を超える日当を受け取っても、所得にはならないので、所得税の支払いを増やさず手取りを増やせる。 特になし

 

たとえば、出張旅費規程で、社長の海外出張ではビジネスクラスの利用を認めていれば、エコノミークラス(例:200,000円)を利用しても日当として支払われるのはビジネスクラスの料金(例:400,000円)で、会社はその全額(例:400,000円)を経費にできます。

社長は、日当として支払われたビジネスクラスの料金と、実費として支払ったエコノミークラスの料金の差額(400,000円ー200,000円=200,000円)は、自分のお金にすることができますが、それについては、所得税の計算で所得にならないので、所得税の支払いを増やすことなく、手取りが200,000万円増えることになります。

出張旅費規程で問題になるのは、日当をいくらにするかです。

この点については、法律や通達で具体的な説明がされていないので、「社会通念上、必要と認められる範囲内」と考えて、極端に高額にならないように決めていけばOKです。

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]出張旅費規程の整備は、節税だけでなく、役員・従業員の福利厚生の面でも有利になる方法です。対外的な手続が不要で社内で規定を作るだけですから、手間も少なくてすむので、早めに作っておくといいですよ。[/voice]

 

社宅制度を利用する

会社でマンションを借りて、借りたマンションに役員(社長)が住むことで節税することができます。

社長個人でマンションを借りる場合は、家賃の支払いで社長のお金が出ていって終わりですが、

 

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会社でマンションを借りると家賃を会社の経費にすることができるので、

 

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会社の所得を減らすことができて法人税を少なくすることができます。

 

「会社の節税はこれでOK」と言いたいところですが、会社が借りたマンションに役員(社長)がタダで住んでしまうと、税務上は家賃分の給料を支払っていることになってしまいます。

これでは、役員の所得税が増えてしまうのはもちろん、会社の社会保険料の支払いも増えてしまうので、さらに会社からお金が出ていくことになって、節税の効果が小さくなってしまうんです。

そこで、マンションの提供が給与の支払いにはならないギリギリのライン役員から家賃の支払いを受けるようにします。

こうすることで、経費にできる金額が「家賃の支払い ー 役員から受け取った家賃」と減ってしまいますが、役員の所得税・会社の社会保険料の新たな発生を防ぐことができて、節税の効果を高めることができます。

[aside type=”normal”] 会社が借りたマンションに役員が住むメリット

「支払った家賃 ー 役員から受け取った家賃」を会社の経費にできる

[/aside]

 

では、具体的に「役員からどの程度の家賃を受け取るべきか」ですが、2つの計算方法が認められているので、実際に計算してみてどちらか小さい方を選びます。

1つは、家賃の50%
これは簡単な計算方法として認められているものです。

もう1つは、厳密に計算する方法です。
社宅を、「小規模な住宅」「小規模な住宅以外」「豪華社宅」に分けて計算方法を定めていますが、ほとんどのケースは「小規模な住宅」に該当するので、「小規な模住宅」の計算方法を紹介します。

 
※「小規模な住宅」の条件

耐用年数 条件
30年以下 床面積132㎡
30年超 床面積99㎡

 

[aside type=”normal”] 「小規模な住宅」の家賃の計算方法

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))

(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

(1)から(3)の合計額

[/aside]

 

うーん、これはなかなか手強そうですね。

ですが、ここはきちんと計算して、家賃の50%と比較した上で決定すべきです。家賃は毎月発生するものですから、年間の金額に直すとかなり差が出ますからね。

計算式をよく見てみると固定資産税の課税標準と、物件の床面積が分かればOKですから、固定資産税の課税標準は、市区町村の税務課で固定資産課税台帳のコピーをとれば分かりますし、床面積については賃貸契約書で確認できることから、実際はそこまで大変でもありません。

便宜的に50%にしている場合も多いですが、必ず両方の計算をした上で決めるようにしましょう。

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]会社で社宅を借りて役員が住むと、会社の経費を増やすことができるので、節税につながります。ただし、タダで住んでしまうと税務上は給料を受け取っていることになってしまうので、一定の家賃を会社に支払いが必要になる点は注意が必要ですね。[/voice]

 

経営セーフティ共済へ加入する

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9448.jpg” name=”タカジム” type=”l fb”]ここまではお金を使わない節税を紹介しましたが、ここではお金を使う節税を紹介します。

ただし、お金を使うのは一時的で、将来には支払ったお金が返ってくるので、実質的な負担はなしで節税の効果が得られる方法ですので安心して下さいね。[/voice]

経営セーフティ共済は、一定の掛け金を支払うことで、取引先の倒産によって資金繰りが悪化したときに、資金の借入ができる制度で、中小規模の企業が対象です。

経営セーフティ共済には次のような特徴があります。

[aside type=”normal”] 経営セーフティ共済の特徴
掛金全額経費として認められる

・取引先が倒産して、売掛金の回収が困難となった場合に、借入ができる

40ヶ月以上掛金を払えば、掛金の全額が返還される

[/aside]

つまり、一時的にお金が出ていくことになりますが(掛金の支払いのため)、お金を減らすことなく経費を増やすことができるので大きな節税効果になります。

もちろん、手元資金が少ない場合は加入すべきではないですが、1月あたりの掛金は増やすことも減らすこともできますし、最低掛金は5,000円とそこまで大きな負担にはなりません。

手元資金と掛金の設定のバランスをとって利用すれば、ほぼリスクなしで節税の効果が期待できます。

 

 

まとめ

[voice icon=”https://yz-actax.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_9649.jpg” name=”タカジム” type=”l line”]会社でできる節税対策を見てきました。節税の目的は、会社にお金を残すことですから、その目的を達成するために適切な手段を選ぶようにしましょう。節税だけが目的になってしまうと、ムダにお金が出ていくこともあるので、そんなことがないように注意したいですね。[/voice]
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