病気やケガの治療のために支払う医療費は、確定申告によってキャッシュバック(控除)されます。ただし、きっちりキャッシュバックを受けるには、やらなければいけないことがいくつかあります。
医療費控除の仕組み
医療費控除は、1年間に支払った医療費のうち、10万円を越える額について、キャッシュバックを受けられる制度です(上限あり)。
ただし、何もしなくてもキャッシュバックされるという訳ではなく、必要な手続があります。それが確定申告です。
個人事業主やフリーランスの方にとって「確定申告」は欠かせないものですが、
サラリーマンの方は、「年末調整でおしまい!」と思われているかもしれません。
ですが、医療費控除を受けるには、サラリーマンの方でも確定申告が必要です。
医療費控除は金額もかなり大きくなりますので、申告するように…、いや絶対申告しましょう。
医療費控除を受ける条件
医療費控除は、1年間の医療費が以下のどちらかにあてはまる場合に限って、うけることができます。
10万円以上でなくても、控除(キャッシュバック)がうけられる可能性があるので、「所得」の条件についても確認するようにしましょう。
医療費控除の対象
医療費控除は診療や治療にかかる費用だけが対象ではありません。
それに関連する費用も対象になります。
医療費控除の対象となるもの
具体的に医療費控除の対象となるものを挙げておきます。
※もうすこし詳しい分類は別の記事で扱います
医療費控除の対象とならないもの
医療費控除の対象になりそうでならないものを挙げておきます。
医療費控除の計算方法
医療費控除の計算方法です。
比較的分かりやすいと思います。
医療費控除の上限は、上の式で計算した結果の200万円までです。
医療費控除の確定申告
医療費控除を受けるには確定申告が不可欠です。
確定申告におけるポイントを説明します。
確定申告書への記載の流れ
まず、細かい内容は置いておいて、記入の流れをつかみながら、
必要になる書類を確認しましょう。
記載の流れは次のようになります。
領収書→「医療費の明細書」→「申告書(第一表、第二表)」
実際の資料でも見ておきましょう。
(「申告書」「医療費の明細書」の様式は国税庁のこちらのページからダウンロードできます)
領収書は必ず保管!
上記の記載の流れを見てみると、スタートにくるのは領収書です。
領収書は、それ以降の記録に対する証拠になる最も重要な書類です。
とにかく領収書がないと始まらないので、医療費を支払った時は面倒くさがらずに領収書を保管するようにしましょう。
後から探そうとしてもなかなか見つかりません。
もらったらすぐに保管しましょう。
交通費は領収書の代わりに
「日付」「行き先」「経路」「金額」を記録する
「領収書が大事!」と言っても、電車やバスを利用する際の交通費については、領収書が発行されません。
「ならどうやって、証拠を残すのか」と思いますが、これについては、自分で記録しておけばOKです。
医療費の支払い先になる病院などの所在地と、自宅の住所が分かれば、記録した内容が適切かどうかの判断は可能ですから、領収書の代替資料として認められます。
交通費の記録においては、次の項目を残すようにしておきます。
・日付
・行き先
・経路(何駅から何駅まで)
・金額
これだけ記録しておけば、OKです。
過去の医療費も申告できる
医療費控除は1年間にかかった医療費が対象になりますが、
その年にかかった医療費は、その年に申告しなければ控除(キャッシュバック)がうけられないかというと、そうではありません。
医療費控除は、
医療費を支払った年の翌年の1月1日から、5年後の12月31日まで、
確定申告することによってキャッシュバックが可能です。
たとえば、平成27年(平成27年1月1日から12月31日まで)に支払った医療費については、平成28年の1月1日から平成32年の12月31日までの間に確定申告すればキャッシュバックされるということです。
まとめ
多額の医療費の支払が必要となった時に、医療費控除を利用すると大きなメリットが得られます。
「領収書」が極めて重要ですので必ず保管するようにしましょう。
おまけ
医療費控除の対象かどうかの判別が難しいものもあります。
この点については、こちらの記事で扱っています。