税務調査Q&A

税務調査について、よくいただくご質問をまとめました。

目次

税務調査って何?

税務調査は、確定申告の内容が正しいかどうかを調査するために行われるものです。

ひょっとすると、刑事ドラマなどで良く出てくる「ガサ入れ」のようなものを想像されるかもしれませんが、全く異なるものですので安心して下さい。

あくまでも、税務署が確定申告の内容を見て「ここは大丈夫かな?」と疑問に思ったところを調べに来るものですから、逮捕が目的ではなく、申告内容の事実確認と、申告の内容に誤りがあったときの指導が主な目的です。

 

個人なら税務調査は来ない?

税務調査が来るのは会社だけで、個人にはめったに来ないと言う噂がありますが、それはウソです。

会社でも個人でも税務調査は普通に入ります

確定申告の内容が正しいかどうかを確認するのに、会社も個人も大きな違いは無いからです。噂を鵜呑みにしてはいけません。個人でも「税務調査はいつかは来る」と考えて、日頃から記帳や資料の整理をしっかりとしておきましょう。

 

赤字なら税務調査は来ない?

赤字なら税務調査に来ないという噂もよく聞きますが、これもウソです。
赤字でも税務調査に来ることはあります

ただし、その確率はあまり高くないのも事実です。

赤字でも税務調査に来る理由は、実際には黒字であるにもかかわらず、わざと赤字になるように帳簿を操作して税金の支払いを逃れようとしている疑いがある場合と、赤字が出たことによって還付を受ける場合です。

このような条件にあてはまる場合は、赤字でも税務調査がくることがあります。

 

税務調査は設立してどれくらいしてから来る?

開業初年度に税務調査が来ることはありません。
通常は、開業後3年以降に調査が入ります。

もちろん、開業後3年経ってすぐに税務調査が入ることもあれば、10年経ってもない場合もあります。ですが、税務調査がないのはたまたまで、いずれは調査の対象になります。

あまり、「開業後何年経ったからそろそろ」といった心配をせずに、いつ来てもおかしくないと考えて、準備しておくのが得策です。

 

税務調査はいつごろ来る?

税務調査は1年中行われていますので、「いつごろ」というのはハッキリ言うことはできません。

ただし、よく行われる時期はあります。それは、8月から10月の間です。

これは、7月に公務員の人事異動がある関係で、税務署の職員にとっても7月が1つの仕事の区切りになっていることが大きな理由です。

前年度の仕事に区切りがついて落ち着いたタイミングで、新しい年度を対象にした税務調査を行うという流れがあるために、8月から10月に多く行われています。

 

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税務調査に入られやすい業種ってあるの?

税務調査に入られやすい業種はいくつかあります。
具体的には、

・不動産業

・風俗業

・プログラマーなどIT系

などが該当します。

現金商売で銀行口座からお金の動きがつかめない業種。
1件当たりの金額が大きな案件を外注で引き受けるような業種です。

ただ、このような切り分け方をしても、あまり意味はありません。
どの業種でも税務調査は行われているからです。

 

できれば税務調査を拒否したいのですが

「税務調査は任意なので、断ることもできる」という趣旨のことを耳にしたことがあるかもしれません。

確かに、税務調査が強制ではなく任意であることは事実です。

ですが、実質的には税務調査を断ることはできません

と言うのも、検査を拒否することに対する罰則(検査拒否妨害罪)が定められているためで、いつまでも調査を拒否していると、刑事告発されることになるからです。

税務調査は、罪を暴くために行うものではなく、確定申告の内容が正しいかどうかを確認するために行われるものですから、過剰に恐れる必要はありません。

拒否することを考えるよりも、しっかり準備をして誠実に対応すればいいだけです。

 

税務調査にはどんなものがあるの?

税務調査には、4種類あります。

①呼出調査

②実地調査

③反面調査

④銀行調査

この中で、一般的によく知られているのは「②実地調査」です。
会社や事務所に税務署の職員がやってきて、社長や事業主に質問して会社の現状を把握したり、帳簿や領収書、請求書などの書類を見て確定申告の内容に誤りがないかを確かめたりします。

税務調査は「②実地調査」以外にもあります。

「①呼び出し調査」は、文字通り税務署に呼ばれて、税務署側の質問や疑問に答えるものです。相手の質問に答えればそれで問題はありません。

「③反面調査」は、取引の相手に対して、取引内容が正しいかを確かめる調査です。

たとえば、取引先に100万円商品を売ったことを申告している場合。税務署が、取引先に対して100万円の商品を買ったかどうかを確かめるのです。これで、内容に矛盾があれば申告書に誤りがあることを指摘されます。

「④銀行調査」は、税務署が会社や社長個人の銀行口座を調査するもの。

税務署には銀行口座を調査する権限があります。これは非常に強い権限です。銀行を使ったお金の移動はすぐにバレてしまうと考えて下さい。

もし、売上をごまかそうとして社長個人の口座を使ったとしても、税務署にはバレてしまうのです。

 

税務調査の日程

税務調査は、抜き打ちで行われることはありません。
税務署から事前に日程の提示があります。

もし都合が悪い場合は、日程調整にも応じてくれますので、必ず交渉するようにしましょう。私が税務調査に対応する場合も、必ず日程調整するようにしています。

実地調査は通常2日間の日程で行われます。
ですが、それで税務調査が終了するわけではありません。

税務署の職員は、実地調査で調べた内容を上司に報告します。
その結果、上司が疑わしいと感じたところや、調査が不十分と判断したところがあると、あとから「この取引についてもう少し詳しく教えて下さい」と連絡が来ることがあるのです。

実地調査が終わっても、その後しばらくは税務署とのやりとりが続くと考えておきましょう。多くはありませんが場合によっては半年近く続くこともあります。

 

税務調査当日の流れ

税務調査の流れはだいたい決まっています。
10時ごろからスタートしますが、最初は税務署からの質問です。
会社の現状に関する質問で、社長や事業主が直接答えなければ行けません

12時になると一旦休憩。
13時頃から再開しますが、ここからは帳簿や領収書、請求書などの資料を調査します。

帳簿や資料の調査の過程でも、取引の内容について質問されますので回答していきます。ただし、税理士が立ち会っている場合は、税理士が対応しますので、社長や事業主は席を外していてもOKです。

調査は16時頃まで続いて1日目が終了。

2日目も10時頃からスタートしますが、引き続き帳簿と資料の調査。
12時頃休憩に入って13時から再開。15時頃に調査が終了して調査結果の報告が行われ、実地調査は終了です。

 

税務調査では何を見られる? & 税務調査で用意する書類は?

主に次のような資料を見られます。

 

・総勘定元帳

・通帳

・過去の申告書控え

・領収書・請求書(売上・仕入にかかるもの)

・議事録など(役員報酬改定など)

・契約書関係

・従業員関係の書類(労働者名簿など)

・給与関係の書類(源泉徴収簿など)

・固定資産関係の書類

・過去の申告書の控え

・消費税の計算明細

・株主総会や取締役会の議事録

・契約書

 

あと、メールの内容やデータで保存している資料なども見られますので、業務用のPCは調査対象と考えておくべきです。

そして、税務調査当日までに、これらの資料を全て準備します。
かなりの量になりますので、普段から整理しておくことが非常に重要です。

 

税務調査では過去何年分を調査される?

税務調査の対象になるのは、法律上原則、過去5年分とされています。

ただし、多くの場合は過去3年分の調査で終了します。
ですので、準備する資料も過去3年分を用意しておけばまずは問題ありません。

また、無申告の状態で税務調査が入る場合は、より慎重に調べることになるため、過去5年分

さらに、

わざと売上をもらす。
売上を隠すために関係会社などを使った複雑な取引を行う。
経費にならないと分かっていながら、多額の支払を経費にする。

など、悪質な手段による脱税が発覚した場合の場合は、過去7年分を調査されることになります。

ですので、基本的には過去3年分
無申告の場合は過去5年分悪質な脱税があった場合は7年分になると考えて下さい。

 

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確定申告の内容が適当で間違っているかも

仕事が忙しく、普段から経理ができていないせいで、確定申告を適当な数字で出してしまっている場合に、税務調査が入ることになったら、まずは、確定申告の数字を正しく修正する、修正申告を行います。

確定申告を適当にやってしまったと言っても、手元に残っている資料は必ずあるはずです。

なので、手元にある資料を基にして、間違いのない数字(税務調査にこられても、証拠となる資料を提示できる数字)で申告をやり直しましょう。

売上は、請求書の控えと銀行の入金記録を元にして、漏れなく計算。
経費はレシートや請求書があり、確実に事業のために支払ったことが分かっているものだけを含めるようにして、計算をやりなおします。

 

最初の税額よりも支払う額は多くなるかもしれませんが、間違った税額のまま修正せずに、税務調査で誤りを指摘されると、税金とは別に罰金の支払いを命じられることになります。

この罰金は、過少申告加算税(追加で支払う税額の10%〜15%)、さらに悪質な脱税と認められると重加算税(追加で支払う税額の40%!)と、非常に重いペナルティーになりますので、絶対に避けなければいけません。

そのために、税務調査が始まる前に、間違いの無い数字で自ら修正し、修正申告する必要があるのです。

 

領収書やレシートを無くしてしまったら

確定申告において、経費として認めさせるためには、証拠となるレシートや領収書が必要です。税務調査の際にも、該当するレシートや領収書を見せなければいけません。

そんな経費の証拠となるレシートや領収書を無くしてしまった場合。

経費にするのを諦めなければいけないかというと、そうではありません。

まず最初にやるべきことは、再発行の依頼
支払ったお店や取引先に対して領収書の再発行を依頼してみましょう。
もし、それに応じてくれれば再発行された領収書を元に経費にしてOKです。

再発行が無理なら、支払の証明書のようなものがもらえないかも依頼してみます。領収書とは別に、「〇月×日 △△円で商品を販売しました」という証明書を作成してもらうのです。イレギュラーなものですが、相手が作成してもらうことに意味があります。

もし、それも断られたら、出金伝票メモ書きを用意しましょう。それで認められるかどうかは微妙なところですが、何もないよりは認められる可能性は高くなります。

 

正直に言います、売上をわざと漏らしていました
税務調査でどうすればいい

売上をわざと漏らす行為は、悪質な脱税です。

なにもしないまま税務調査で指摘されることになれば、売上を加えて計算される税金と、罰金として重加算税(追加で支払う税金の40%)を支払わなければいけなくなります。

この重いペナルティーになる重加算税は絶対に避けなければいけないので、まずは、できるだけはやく漏らしてしまった売上をすべて把握して、修正申告するようにします。

自分で確定申告の誤りを修正すれば、修正後に計算された税金は当然支払わなければいけませんが、重加算税を課せられることはなくなるのです。

税金を安くするために、売上を漏らす行為は立派な犯罪です。
高額な罰金もとられますし、なにより税務調査によって必ずバレます。

ですので、最初から売上をしっかり管理し、もらさず計上することが、結果的に余計な支払を少なくする最良の手段であると心がけましょう。

 

税務調査で誤りが指摘されたらどうなるの?

税務調査の結果、確定申告の内容に誤りがあることが指摘されることもあります。

その場合は、まず正しい内容に修正申告しなければいけません。間違いを間違いのままにしておくことはできませんから、これは当然です。

また、確定申告の内容を修正すると、支払う税金の額も変わってきます。正しい税額を支払うために、修正後の税額確定申告時の税額差額を支払います。

そして、追加で支払った税額は、もともと支払期限までに支払うべきものですから、支払期限を超過したことによる利息(=延滞税)も支払わなければいけません。

さらに、正しい金額で確定申告していなかったことに対する罰金があります。過小申告加算税で、追加で支払う税額の10%〜15%を支払うことになります。

もし、誤りの内容が悪質な脱税にあたると判断された場合は、過小申告加算税ではなく、重加算税(追加で支払う税額の40%)を罰金として支払います。

このように、誤りが指摘されると、

①修正申告

②修正後の税額と、当初の確定申告で計算した税額との差額

③支払期限を越えたことによる利息

④罰金

の4点で対応することになります。

 

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無申告なのに税務調査が来たら

無申告であっても、反面調査や密告などによって事業の状況が税務署にバレて、税務調査が行われることがあります。

もし、無申告のまま、税務調査を受けることになったら、申告をして、税金と利息を払い、さらに、罰金無申告加算税。納税額の15%〜20%)を支払わなければいけません。

この支払いは、かなり大きな負担です。
特に、罰金にあたる無申告加算税が厳しく、正しく申告した場合よりも、20%近くも多くの支払が増えることになります。

ですが、この負担を軽減することは可能です。
それは、税務調査の前確定申告してしまうこと。

こうすることで、無申告加算税を5%に抑えることができるのです。
残念ながらそれ以外の部分を軽減することはできませんが、それでも、無申告加算税が20%近くかかるところを5%に抑えられれば、支払の負担はかなり減ってきます。

時間的には厳しいですが、税務調査が来る前に確定申告してしまいましょう。

 

社長個人の銀行口座も調査されるの?

税務調査では、社長個人の銀行口座を調査することもあります

税務調査は、会社や事業主の事業に関わる確定申告が正しいかどうかを調査するもの。ですので、調査する資料も会社や事業主の事業に関わるものに限定するのが基本です。

ところが、会社や事業主の脱税の方法として、社長や事業主個人の銀行口座を使って、お金を動かすことが多くあるので、悪質な脱税の証拠をつかむために、社長や事業主個人の口座も調査するのです。

 

税務調査があると必ず追徴課税されるの?

税務調査があったからと言って、必ず追徴課税されるわけではありません。

税務調査は、確定申告の内容が正しいかどうかを調査するために行う調査ですから、調査の結果、確定申告の内容が正しかったと分かれば追徴課税はありません。

実際、税務調査で追徴課税がなかったケースに何度も立ち会っています。

 

税金を払うお金がないときは?

税務調査で確定申告に誤りがあることが指摘された場合、追加で税金を支払わなければいけません。税金は期限までに一括で支払うのが基本ですが、場合によっては手元に十分な資金がないこともあります。

そのような場合は、税務署に相談しましょう。

税務署はかなり柔軟に対応してくれます。
現状を正直に話して、支払う意思をを示せば分割などの提案をしてきますので、粘り強く交渉して支払える範囲で支払うようにしましょう。

最もマズいのが、何もしないことです。

支払えないからと言って、税金をそのまま滞納すると、利息が発生するだけでなく、罰金が科されることになり、ますます負担が増えることになります。

また、税務署からの信頼もなくなり、税務調査の対象になりやすくなるため、何一つ良いことがないのです。

税金が支払えない時は、税務署に相談することを覚えておきましょう。

 

税務調査は税理士に立会を依頼した方が良い?

正直に申し上げると、税務調査には税理士に立会を依頼した方がいいです。

理由は3つあります。

 

1つは、余計な税金の負担を減らせることです。

税務調査に入られたとき、余計な税金や罰金を取られないようにするためには、税務調査の前に万全の準備をすることと、調査官の質問に的確に答えることにかかっています。

税務調査前の準備には、確定申告の内容を精査して、修正が必要な場合は修正申告まで行うことが含まれるので、迅速に修正申告ができる事が求められます。

また、調査官の質問に的確に答えるには、税法の裏付けのある答えを返さなければ行けません。

その点、会社や個人事業主だけで対応するのは難しく、税務の専門家である税理士に依頼する方が、効果的な対応を期待することができます。

 

2つめは、税務署とのやりとりの負担が減らせることです。

会社や事務所に調査官がやって来たとき、税理士が立会っていれば、税理士が調査官の質問に答えれば足りるため、調査に長時間付き合う必要がなくなります

また、会社や事務所での実地調査は2〜3日で終わりますが、それで終わりではありません。その後も、税務署から質問や資料の依頼が続くことになります。

その際、税理士に依頼していれば、実地調査後の税務署とのやりとりを、税理士が担当することになるので、実地調査後も続く税務署とのやりとりに忙殺されずにすみます。

 

3つめは、税務調査の不安を取り除けること。

税務調査はやはり不安なものです。
それに、社長あるいは個人事業主だけで立ち向かうのはなかなか大変です。

その点、税理士に立会ってもらえば、必要なアドバイスをもらえますし、対応を税理士に任せることもできるので、安心して税務調査に立ち向かうことができます。

 

税務調査に税理士が立ち会うメリットはかなり大きいです。
コストはかかりますが、無駄な税金や罰金を払うことを考えれば、十分なリターンがあります。

 

 

まとめ

税務調査は、その内容と対応の仕方さえ分かれば恐れる必要はありません。ただし、税金や罰金の負担を軽減し、効率よく税務調査を進めるためには、税理士に立会を依頼するのがオススメです。
 

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