事業を営むのに帳簿は必須。会社がどのような活動をしているかを報告したり、税金の計算を正確に行うために、取引の内容が記録された帳簿が必要だからです。税務調査でも真っ先に見られるものですが、税務調査があるのにその帳簿がない場合、どうすべきかを説明します。
帳簿がないまま税務調査を迎えるとどうなるか
税務調査が決まったのに、帳簿を作っていない。または、重要な帳簿を無くしてしまった場合。
何もせず税務調査を迎えるとすれば、調査官にありのままを説明するしかありません。
「帳簿を作らなければいけないのを知らなかった」
「帳簿が必要なことは知っていたが、忙しくて作ることができなかった」
「重要な帳簿と知らずに、廃棄してしまった」
など、真実を説明するのです。
それで何かが変わるわけではありませんが、そこは中途半端に言いつくろったりせず、実際に起こったことを説明します。
その後は、税務調査で、帳簿以外の書類で確認できる部分だけが正しい認められ、確認できない部分は確定申告の誤りとして、追加で税金を支払うことになります。
また、帳簿を作成していないこと、帳簿を紛失したことが、儲けを隠すために行われたと認定されると、罰金(重加算税)も科されることになります。
さらに、青色申告を行っている場合は、正確な帳簿の記録(複式簿記)が条件になっていますので、青色申告が取り消される可能性もでてきます。
税務調査までにできることがある
このように、帳簿が無い状態で、何もしないまま税務調査を受けると、大きな損害が出てきます。ですが、税務調査前に適切に対応することによって、損害を小さくすることはできます。
帳簿を作る
まずは、帳簿を作ります。
「今から?」と思われるかもしれませんが、今からです。
もちろん、完璧な帳簿はできませんが、確実に分かる取引についてだけを記録した帳簿を作るのです。
何もない状態で税務調査を受けるよりも、誤りとされる範囲は絶対に狭くなりますし、帳簿がないことによるペナルティ(青色申告の取消し)を避けることにもつながります。
では、どのようにして帳簿を作るかというと、通帳を見て作ります。
通帳には取引の「日付」「取引先」「金額」が記録されていますから、帳簿に記録すべき内容がほとんど揃っていますし、何よりも実際に取引があったことを明確に証明することができる(嘘をついていないことが証明できる)のがいいのです。
その他に、請求書や領収書で残っているものがあれば、それも加えて、帳簿を作ります。
確定申告の根拠となる資料を作る
帳簿では、ありませんが確定申告の数字の根拠となる資料も作ります。
たとえば、売上の金額。
「取引の数」と「1件当たりの平均の売上」が分かっていれば、
それをかけることによって大体の1年間の売上が分かります。
正確な金額が分からなくても、「あー、なるほど」と思ってもらえるような根拠のある数字を資料として残しておけば、確定申告の数字にもある程度の説得力をもたせることができるからです。
このような確定申告の根拠となる資料があれば、税務署が勝手に売上の金額を決めるようなこと(「更正」といいます)はありません。
その資料に基づいて、実際にその金額が正しいかどうかを税務署の方が調査して結論を出すことになるからです。
税務署が自由に金額を決めるのと、元になる資料があるのとでは、結論に大きな差が出てくるのは言うまでもありません。
根拠のない取引を記録しない
このようにして、帳簿と確定申告の根拠となる資料を作っていきますが、1つ注意点があります。
それは、根拠のない取引を帳簿や資料に記録しないことです。
根拠のない取引の記録は、税務署に疑われるための材料を与えることになります。
余計な情報を与えると、それをきっかけに他の情報についても疑い始めますから、調査が長引いたり、信頼が揺らいでこちらの主張を聞き入れてもらえなくなったりして、税務調査で不利になってしまうのです。
そのようなリスクを避けるために、作成する帳簿・資料については、
取引があったことがハッキリとわかるものに限って、記録するようにしましょう。
まとめ
税務調査を前にして、帳簿がない、帳簿を紛失した状態にある場合は、まず、帳簿を作るところからはじめましょう。帳簿がないままで税務調査を受けると大きな不利益を受けることになります。
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