税務調査では、突然調査官が会社に現れて、手当たり次第、帳簿や書類を見ていくような乱暴なやりかたはしません。税務署との交渉の中で、スケジュールも、調査の場所も決めていきます。「どこで調査を受けるか」も戦略としては重要なポイントです。
税務調査には場所の確保も必要
税務調査は、調査官が訪問し、私たちに質問したり帳簿や関連する書類を調査していきます。
税務調査は、2〜3日かかりますので、その間、調査官が作業できる場所を確保しなければいけません。税務調査の準備には、この場所の確保も含まれています。
ただ、当然のことですが、会社でも個人事業でも事業を営む目的は儲けを出すことにあります。
いくら税務調査を受けるからと言って、そのことを理由に事業を止めるわけには行きません。税務調査によって普段の業務に支障が出て、その日の売上を落としてしまうようなことは避けるべきです。
また、自宅を事務所にされている方が、税務調査を自宅で受けることになると、事業に関係のない私物にまで、手を付けられてしまう可能性があります。
そのような不利益を受けないためには、税務調査を業務に影響のない、隔離した場所で行うことがポイント。
税務調査は、会社か事務所で受けるイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。
税務署との交渉によって税務調査を受ける場所は指定することができるのです。
具体的にどのような場所で調査を受けるべきか見ていきましょう。
税務調査を受ける場所はどこにすべきか
税務調査を受ける場所は、次の3つの条件から考えます。
1.調査官が作業をしても業務に影響を与えない
2.担当者以外の従業員が調査官を接触しない
3.帳簿、書類を運んで保管できる
1.は先に説明したとおりですが、2.は余計な情報を調査官に与えて、税務調査が不利にならないようにするため。3.は、帳簿・書類の運搬ができる範囲で決めるということです。
税務調査は場所を指定することはできますが、指定した場所には調査官が求める帳簿や書類を揃えておかなければいけないので、運搬にコストや労力がかかりすぎるところは、候補から外れます。
これらの条件から、税務調査を受ける場所として次のような場所を確保するのがオススメです。
会社の会議室
会社にある会議室です。
質問がある場合も、この部屋の中だけで回答して、追加で必要な資料は内線で依頼してもらって運ぶようにしておけば、業務を邪魔されることがありません。
また、会議室を税務調査で使うことを全社に告知して、
その間は会議室に近づかないようにしておけば、担当者以外の従業員と調査官が接触することもなくなります。
帳簿・書類の運搬もラクなのでオススメです。
貸し会議室
貸し会議室もOKです。
会社、事務所の外なので、業務への影響、担当者以外の従業員との接触については完璧にクリアできます。
自宅を事務所にされている方の場合は、調査官を自宅に入れる必要がなく、私物に触れられる可能性もありませんので、オススメです。
使用料がかかるのと、帳簿・書類の運搬に手間がかかるのがデメリットですが、それを上回るメリットがありますので、オススメです。
顧問税理士の事務所
顧問税理士がいらっしゃる場合は、顧問税理士の事務所も可能です。
もし、会社の会議室に空きがない場合や、適当な貸し会議室がない場合などは、相談してみるといいでしょう。
ただ、税理士事務所の規模やスペースに大きく影響され、
必ず使えるわけではないのがデメリットです。
ちなみに、タカジムでは十分なスペースを確保することができないため、
お断りしています(その代わり、割安な会議室をご紹介しています)。
注意点
税務調査で使うオススメの場所を見てきましたが、
1つ注意点があります。
いずれも、帳簿・資料をいつも保管している場所から運びだして使うことになりますが、その際、紛失しないように注意することです。
資料は紙が中心ですので、ちょっとしたことで紛失してしまうことがあります。
また、調査官との間で、「資料を渡した、渡さない」でもめることもあります。
そこで、そのような資料の管理でトラブルが起きないように、
資料は段ボールなどに整理(年代別、資料の種類別などに整理)してまとめ、チェクリストを作って何を運んだかが分かるようにしておきましょう。
調査官の言いなりに帳簿・書類を運ぶだけではダメです。
自分たちで、提出した資料を管理して紛失がないようにしましょう。
まとめ
税務調査は場所選びも重要な戦略です。
業務に支障がなく、調査に関係ない私物に触れられたりすることがないよう、隔離した部屋を選ぶのがポイントです。