事業を行っていると、年度によっては赤字になることがあります。赤字になった年の法人税は、支払う必要はありませんが、それだけでなく、その年の赤字を翌年度以降に繰り越すこともできます。
赤字の年の法人税の支払い
赤字の年の法人税の支払いは”ゼロ”。
支払う必要はありません。
これは、法人税の計算の仕方を理解すれば、すぐに分かります。
と言っても、難しいところはありません。
法人税額は、次のようにして計算されます。
これだけです。
「赤字」は「マイナスの利益」ですから、この式に当てはめると、
「赤字の年は、マイナスの法人税を支払う」
ことになりますが、「マイナスを支払う」ということは、「お金を受け取る」ことになってしまいますが、まさか、国が赤字を補填してくれるなんてことはないので、結局、支払いはゼロになります。
ただ、会社の赤字はその年だけに留まることはありません。
翌年度以降に持ち越して、利益と相殺できるというメリットがあります。
赤字(欠損金)は翌年度以降の利益と相殺できる
抽象的な説明だけでは難しいので、具体例を使って図を交えながら説明します。
たとえば、ある年度に100万円の赤字が出たとします。
この年は先ほど触れたように、法人税の支払いはゼロ。
次の年は、何とか挽回して50万円の利益が出たとします。
この年の法人税額の計算をするとき、いきなり50万円の利益に対して税率をかけるのではなく、
この年の利益(50万円)と、前年の赤字100万円のうち50万円とを相殺。
すると、この年の利益はゼロになるので、法人税の支払いもゼロになります。
さらに、その次の年に利益が100万円出たとします。
平成27年度の赤字は、まだ50万円残っているので、
この年の利益(100万円)と、平成27年度の残りの50万円の赤字とを相殺。
相殺しきれなかった、利益50万円に対して税率をかけた金額が、平成29年度の法人税になります。
このように、ある年度で発生した赤字は、翌年度以降にも繰り越されて利益と相殺され、
相殺後の利益に対して税率をかけた金額が、その年の法人税の支払い額になります。
つまり、ある年の赤字は、その年で終わりではなく、翌年以降の法人税の支払いにも影響を与えるのです。
赤字は、法人税法で「欠損金」と呼ばれていることから、この制度は、
「欠損金の繰越控除」と呼ばれています。
欠損金の繰越控除を使うには、青色申告が条件
ただし、「欠損金の繰越控除」を使うためには条件があります。
それは、青色申告していることです。
赤字が発生した年以降、ずっと青色申告していなければ、いくら赤字が出たとしても、翌年以降に繰り越して、利益と相殺することはできません。
また、赤字の繰越には制限があります。
繰り越せる期間は、赤字が発生した翌年から9年間(平成29年4月1日以降に始まる事業年度では、10年間)が限度です。
また、黒字との相殺に使う赤字は、古いものから順に相殺していくことになります。
さらに、相殺できる金額にも制限があります。
中小事業者であれば、黒字の全額と相殺することができますが、
中小事業者以外は、黒字のうち65%( 平成29年4月1日以降に始まる事業年度では、50%)分しか、相殺できないことになっています。
まとめ
赤字の年の法人税は、ゼロ。
さらに、翌年以降に赤字を繰り越して、黒字と相殺することもできます。
ただし、それには青色申告していることが条件です。
おまけ
今週、F1を鈴鹿でやってるの知らなかった。