税務調査で「帳簿と資料を持ち帰らせて欲しい」と言われたら

税務調査では、税務署に見せた帳簿や資料を、そのまま持ち帰りたいと言われることがあります。きちんと事情を説明して、「持ち帰らないようにしてほしい」と伝えましょう。

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税務署には帳簿・資料を持ち帰ることができる

税務調査が行われるのは、概ね2日から3日の間です。
この間に調査官は過去3年分の帳簿・資料を確認して、確定申告の内容に誤りが無いかどうかを調査します。

調査が順調に進めばいいですが、場合によっては調査が終わる寸前になって、疑問点や怪しそうな取引を発見して、「もう少しこの取引について詳しく調べたい」ということも。

税務調査の日程は、税務署が私たちの事業の大きさや取引量、誤りや不正による脱税のリスクなどを考えて、2日なり3日なりの日程を伝えてきているはずですから、簡単に延長することはできません。

そこで出てくるのが、「帳簿・資料を預からせて下さい」というお願いです。

このお願いは、税務調査の方法の1つとして、法律上も認められています。
ですので、「帳簿・資料を預かりたい」という依頼も、不当な方法とは言えません。

 

調査官の都合で勝手に帳簿・資料を持ち帰ることはできない

法律でも認められている、税務調査での帳簿・資料の持ち帰りですが、調査官は自由に持ち帰ることが認められているかというと、そうではありません。

調査官には、勝手に持ち帰る権限はないのです。

どう言うことかというと、税務調査において帳簿・資料を持ち帰って調査する必要があるケースがあることは認められているもの、実際に持ち帰る場合は、

「合理的な理由」と、「納税者の許可」がなければいけない

ことになっているのです。

このことを踏まえて、帳簿・資料の預かりの依頼に対処していきます。

 

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持ち帰らせないようにする

「帳簿・資料の預かり」の依頼に対しては、

持ち帰らせないようにする

のが基本的な方針です。

先ほど説明したように、「帳簿・資料の預かり」は強制的に行えるものではなく、納税者の許可がなければ実行できないので、許可を与えないようにします。

ただし、単に「ダメです」とういだけではダメです。
なぜなら、税務調査の妨害になってしまい、刑罰の対象になってしまうからです。何の理由もなく調査官の依頼を拒否することは、この場面に限らず調査妨害にあたるのでやってはいけません。

ではどうするかというと、「帳簿・資料の預かり」のもう一つの条件、
合理的な理由」に注目します。

「帳簿・資料の預かり」が認められる合理的な理由も決まっていて、
次の2つのケースが「合理的な理由」になります。

 

・納税者が用意した作業スペースが小さく、効率的に調査できない

調査する分量が多く長期間実地で調査をすると納税者に負担がかかる

 

まず、この2点について説明がなければ、「帳簿・資料の預かり」の条件は満たしませんから、

預かる理由がないなら、認められません

と主張して、拒否する意思を伝えましょう。

次に、調査官が「帳簿・資料の預かり」について、どちらかの理由とともに預かりたいと依頼してきたら、2つの理由で反論します。

 

・「税務調査のために、わざわざ場所と時間を確保しているのだから、
 この場で時間内に調査して欲しい

・「持ち出すことで、紛失することもあるので持って行かないでほしい」

 

そもそも、税務署の要望に応えて日程を確保しているのですから、
その期間内に終わらないと言うなら、税務署の見込みが甘かった訳で、
落ち度は税務署にあるはずです。

また、帳簿・資料には7年の保管義務があり、社内ルールとして外部には持ち出さないことが決められているはずですから、安易な持ち出しに厳しく対応していることも理由にして、拒否することを伝えましょう。

 

範囲を制限し、返却時期の目安を確認してから認める

それでも、しつこく「預かり」を求めてくることもあるかもしれません。

「預かり」の理由も説明せず、強引に持ち帰ろうとする場合は、断固拒否の姿勢を貫きます。ルール違反をしているのは税務署の方ですから、こちらが折れる必要はありません。

その一方で、合理的な理由の説明があり、調査の成り行きを考慮して、こちらとしてもある程度納得できる理由がある場合は、無理に拒否することなく認めることにしましょう。

先ほどもありましたが、一方的に拒否し続けるのは税務調査の妨害になりますので、ある程度納得できる説明がある場合は、こちらも歩み寄る必要があります。

ただし、ここでも調査官の言いなりになる必要はありません。
きちんと、帳簿・資料を預かる理由を聞いて、必要な範囲についてのみ持ち帰りを認めるようにします。

調査に必要のない範囲まで、「念のため」などという理由で持ち帰ることは許さないと言うことです。

さらに、いつ頃返してくれるかの目安についても確認しておきます。

もちろん、調査の進み具合にもよりますが、ダラダラと預けている期間を長くすることは認められません。その分紛失のリスクも高くなりますから、返却時期の目安を確認することで、こちらの「早く返してもらいたい」という意思を見せておくのです。

 

まとめ

税務調査で「帳簿・資料の預かり」を求められたら、拒否するのが基本方針です。
ただし、合理的な理由がある場合は、預ける帳簿・書類の範囲を必要な範囲に限定して、返却時期の目安の確認した上で、「預かり」を認めるようにします。

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