2015年10月から、マイナンバーの通知カードが各世帯に配布され、制度がスタートすることになります。今後は、会社でもマイナンバーを扱うことになり、その対策を行うことになりますが、制度のスタートに際して2015年中に会社としてやっておくべきことを解説します。
マイナンバーを利用するのはいつから?
今後のスケジュール
まず、マイナンバーが通知されることは、ニュースや新聞などでご存じかと思いますが、そのマイナンバーが「どのタイミングで利用されるか?」と聞かれると、はっきりと分からないのではないでしょうか。
この機会に、会社として「ここでマイナンバーが必要になるよ」という場面を、時系列で確認しておきましょう。
結論から言うと、絶対に必要になるのは、”2017年1月以降の法定調書提出”の時です。
その前に、2016年1月から「雇用保険の加入・脱退手続」とありますが、これは、ハローワークに提出する雇用保険の書類にマイナンバーを記入してくれというものなのですが、努力義務なんですよ。
厚生労働省のマイナンバー制度についてのQ&Aに記載があって、
”
雇用保険手続の届出にあたり、個人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、雇用保険法上設けられておりませんが、個人番号の記載は番号法上求められている努力義務ですので、御協力・御理解をお願いします。
(出典:厚生労働省HP 「雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A」)
って完全に「お願いしゃーっす」てレベルのものです。
今後は、罰則も整備されることになるかもしれませんが、現時点ではやらなくても問題はありません。
ということで、一番最初に確実にマイナンバーが必要になるのは、
2017年1月以降の法定調書提出の時からになります。
まずは、このスケジュールを頭に入れて準備を進めることにしましょう。
今年中にやっておいた方が良いこと
マイナンバーが必要になるタイミングが分かると、「そこまで焦る必要はないな」と思われたのではないでしょうか。
ただ、マイナンバー制度が始まる今年中にやっておいた方が良いこともあります。
「絶対にやらなければいけない」というよりは、
「直前になると期限に間に合わなくなるリスクがあるので、早めにできることはやっておいた方がいいですよ」という意味です。
今年中にやっておくと良いのは、次の3つです。
順に説明します。
利用目的通知
まずは、「利用目的通知」です。
マイナンバーは、従業員や取引先のマイナンバーを会社が集めて、源泉徴収票などの役所に提出する書類に記載するものですが、
会社がマイナンバーを集める際には必ず、
利用目的を通知または公表
しなければいけません。
マイナンバーを収集しても何に利用されるかが分からないと、集められる側は不安になります。
そこで、会社がマイナンバーを収集する前に利用目的を報せて、法律で決められた目的の範囲でのみ利用することを、従業員や取引先に伝えることを義務づけています。
それが、「利用目的通知」です。
今年中にマイナンバーの収集を予定している場合は、必ずこちらの利用目的通知もセットで準備するようにします。
安全管理措置
会社がマイナンバーを収集した後は、それが外部に漏れないように厳重に管理する必要があります。
誰が責任者になって、どのような仕組みでマイナンバーを守り、具体的にどのような手続で利用するのか、
といった、収集後のマイナンバーの管理について、方針を決めて体制を整えなければいけません。
マイナンバーの管理体制はマイナンバーを収集してから作るようでは遅いですから、今年中に決めておいた方が良いでしょう。
マイナンバーの収集
実際に利用するのが2017年の1月以降ということで、まだ早いという考えもあると思いますが、これもいずれ必要になるので早めに取りまとめておくのも一つの方法です。
ただ、収集の方法にはいくつかあって、私がオススメするのは2016年1月に送られてくる個人番号カードを、カードリーダーなどで読み取る方法。
この方法なら、間違ったマイナンバーを会社に伝えるというリスクが無くなりますし、
さらに、マイナンバーには本人確認が求められているのですが、個人番号カードを使うと、個人番号カード以外の本人確認書類が不要になるので(通知カードなら別の書類が必要)、正確かつ効率的な収集が可能になるからです。
なので、マイナンバーの収集は焦って年内にするよりも、個人番号カードの配布を待ってから実施する方が良いかもしれません。
ただし、「会社としてどのように収集するか」という収集方法については、年内に検討して決定しておくべきです。
まとめ
マイナンバーが確実に必要になるのはもう少し先です。
あまり焦ることなく、直近で必要になる事項(利用目的通知、安全管理措置、マイナンバーの収集)から準備していきましょう。
おまけ
マイナンバーは、まだハッキリ決まっていない部分も多いです(特に運用面)。
ですので、周りの会社さんの対応を見ながら少しずつ準備するというスタンスでも十分でしょう。