「前渡金」と「前払費用」の違いについて別の記事で解説しましたが、それと同じような関係にある負債科目があります。「未払金」と「未払費用」です。「前渡金」と「前払費用」と同じように、共通点と相違点の両方をおさえておくと、両者の理解が深まります。
「未払金」と「未払費用」の共通点
「未払金」と「未払費用」の共通点から見ていきましょう。
「前渡金」と「前払費用」の場合とみるべきポイントは同じで、
・支払いのタイミング
・モノ・サービスの提供のタイミング
この2点です。
(「前渡金」と「前払費用」についてはこちらの記事で触れています)
通常の取引(コンビニやスーパーでの買い物をイメージして下さい)との違いを意識して、おさえましょう。
通常の取引を考えると、「支払い」と「モノ・サービスの提供」は、
同時です。
それに対して、「未払金」と「未払費用」は、「モノ・サービスの提供」と「支払い」のタイミングがずれていて、
・モノ・サービスの提供が先
・支払いが後
になります。
こう言ったケースでは、お金の支払いは未だないものの、
・モノ・サービスの提供は完了
・支払いの義務は発生
と既にモノ・サービスが自分の会社のものになっていますので、
会計上はこのタイミングで記録する必要があります。
ただ、会計のルールでは「商品の購入」や「経費の発生」は、
「支払い」とセットで記録しなければいけません。
ところが、この段階では支払いがないので、セットになるはずの支払いの科目(上の例では「現預金」ですね)が存在しないことになります。
そこで、「現預金」の代わりに、
「将来に支払いの義務がありますよ」
ということを示す科目として使われるのが、「未払費用」「未払金」です。
「未払金」と「未払費用」
次に、「未払金」と「未払費用」の違いです。
着目するのは、提供されるモノ・サービスの性質になります。
結論から行きましょう。
ポイントになるのは、受け取るのが継続したサービスかどうか。
「継続したサービス以外」の場合は、「未払金」になります。
商品や材料を買うときに、長年取引のある仕入れ先なら、
モノを買ってからお金を支払うのが通常です。
このようなケースで使われるのが、「未払金」になります。
「継続したサービス」の場合は、「未払費用」。
スマホの利用契約を結んでスマホを使う時、その月の通信料が請求されるのは翌月です。
このようなケースで使われるのが、「未払費用」になります。
まとめ
「未払金」と「未払費用」はよく似た科目です。
共通点と相違点の両方をおさえつつ、具体的な取引でイメージがわくようにしておくと、理解が深まります。
おまけ
後払いで商品や材料を買うときには、「買掛金」で処理するのが一般的ですが、「未払金」を使う会社も多いです。
ただ、商品や材料の金額が多い会社の場合は、取引の内容を明確にするために「買掛金」を使う方がいいでしょう。